Death in the English Countryside

「イギリスのというか英語圏での恋愛小説の鉄板はJane AustenのPride and Prejudiceである」と断言しても文句を言われることはかなり低いのではないでしょうか。それくらい普遍的に人気があります。そして、その人気をますます不動にしたのがBBCのmini series「Pride & Prejudice」。このシリーズが製作されたのは1995年とかなり前ですが、元々時代物なので色あせることがなく、何度も再放送されたり話題になったりしていて、リアルタイムで観たことがない世代でも知ってる人気番組です。恋愛物のため、女性限定だと思うかもしれませんが、授業でJane Austenを学ぶときに本を読むだけでなく、DVDを観ることもあるので、男性でも学生時代にAustenの話の中でもこの話は読んだ・観たという人が多いです。

小説「Pride and Prejudice」自体が人気のある話しなので、これに関連した映画やドラマも数多くあります。が、BBCのmini seriesが基準となっていて、必ず比較されます。BBCに沿った雰囲気にするか離れるかが、製作者の腕の見せ所になっているのかもしれません。

で、このお話は、新たに作るPride and Prejudiceの映画のために、撮影に適した家や背景を調査に行き、行方が分からなくなった上司を探しに行く所から話が始まります。上司を探しにアメリカからイギリスに向かうときに、スーツケースに最初に入れたのが、傘というのが、笑ってしまいました。でも、実際にはイギリスでは、傘よりもウインドブレーカーを着て歩き回る人の方が多い気がします(私がいる地域だけかもしれません)。

イギリスの郊外やパブの雰囲気がよく出ているし、AustenやBBCのドラマが好きだった人には楽しいミステリー小説です。

Murder on Location シリーズとして7作出ているようです。

Death in the English Countryside
by Sara Rosett

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Wildfire

Hidden Legacyシリーズの3作目Wildfire

3作目になると、登場人物も多くなり、この人誰だっけ、どんな魔法使うんだっけ?と、ついていけなくなることも。魔法の種類も多くて、多岐に渡っているのですが、誰もが何かに特化していて、どんなに強いPrime(魔法を使う人たちの中でトップクラスの階級)でも万能ではないのがある意味公平です。

1作目からNevadaは家族の大黒柱として、様々な経済的な問題や危機を潜り抜けながら、父親から受け継いだ探偵事務所を小さいながらも堅実な評価をうける事務所にまで築きあげました。

今回はNevadaの特殊能力が父方の家系からきており、今まで存在すら知らなかった祖母が家の存続のために動きだします。祖母の言いなりなれば、家族が今のままでいられないことを知ったNevadaは、祖母の家(House)には入らず自分たちだけのHouseを立ち上げようと、今まで隠していた自分や家族の力を公にし、新しいHouseの登録を申請します。もちろん祖母はそのことをよく思わず、Nevadaを拉致し自分のHouseにひきこもうと何度も試みます。

同じ時に、Roganの元婚約者Ryndaの家庭が危機に見舞われます。夫が誘拐され、家も襲撃され、RyndaはNevadaに問題解決を依頼し、Roganにも助けを求めます。1作目から引き続く巨大な敵の影をこの誘拐の裏に感じるRoganとNevadaは、協力し解決していきます。

3作目にしてようやく知る秘密もあったりして、RoganがNevadaに「もう隠していることない?」と聞いたのと同じ気分を読者も味わえました。

今回で完全に終わるのかと思ったら、真の敵の正体はわからないままで終わり、次につながりそうです。でも、きりはよく終わっているので消化不良はおきていません。

Wildfire
by Ilona Andrews

この本も読みました。
White Lace and Promises
Chasing Memories

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The Hating Game

会社に嫌いな人がいます。毎日向かい合わせで座り、お互いの仕事をライバル視しながら口を開けば嫌みの応酬。

LucyとJoshは2社の合併に伴う共同経営の出版社で、CEOのアシスタントをしています。Lucyは人間味がなくブルドーザーのように仕事をするJoshにイライラし、Joshは誰にでもいい顔をしようとするLucyにイライラ。2人はしょっちゅう口喧嘩になり、人事部にお互いの文句を言う会社公認の犬猿の仲。そんな二人が実は、嫌いあっているわけではなかったら?

オーストラリア人のSally Thorneのデビュー作。400ページ近い本でしたが、中だるみなく最後まで楽しく読めました。昇進をかけて2人の関係が変わって行くところや、Joshの家族との関係などが上手に入っていて、スイスイと読み終わり、もう少し2人の会話を聞いていたかったなぁ、と余韻が残っています。Amazon.comでも、sweetとかromanticというレビューが多く評価高いです。

丁々発止なときも甘い感じになったときも2人の会話はポンポンはじけていて読んでいて楽しいし、対照的な2人の性格も魅力的に描かれています。特に、人間味が全くない感じで描かれていたJoshがどんどんステキになって、これは日本語でいうツンデレキャラだ!と途中で納得。ツンデレな感じが好きな人にはドキドキのキャラです。

お話の中で度々2人がする「Truth or Dare」というゲームは、二人または複数でやるパーティーゲームの1つで、指名された人が「Truth」もしくは「Dare」を選び、「Truth」を選べば、どんな質問に対しても正直に答え、「Dare」を選べば、相手から指示された内容を実行するというもので、英語圏では、子どもの時からよくやるゲームです。大人になっても、飲み会などで、Truthを選ばずDareを選んで、テキーラのショットを一気飲み、なんてことがあって盛り上がります。

The Hating Game
By Sally Thorne

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White hot

Hidden Legacy Seriesの2作目。1作目の時も感じたのですが、この本は表紙が誤解を与えると思います。コテコテのロマンス小説のような男女が絡んでいる表紙は、この内容とはちょっと合いません。まぁ、ロマンス小説ではあるけれど、そんなシーンよりもアクションシーンの方が多いし、読者層がずれないのか心配です。

Nevada の特殊能力が1作目より強く絡んできます。1作目では強くて傲慢なところが強調されてdark heroが売りになっていたRoganも2作目になると、違う面も出てきて、人物描写に深みが出てくるのがシリーズ物の良い所ですよね。

シリーズ物でも1作目できちんと話が完了しているので、私の嫌いな良い所でプツリと切られるcliffhanger状態で読了することがありません。でも続きが気になって、1作目、2作目と読んでしまいました。3作目のWildfire: A Hidden Legacy Novelで完結するようで、現在3作目ちょっとだけ読み始めました。Roganの元カノが絡んでくるし、今まで没交渉だったNevadaの祖母が出現してくるし、NevadaとRoganの関係にこの2人がかなり影響を与えそうです。

作者のIlona Andrewsは、IlonaとGordonという夫婦のペンネームで、Ilonaはロシア生まれ、Gordonがアメリカ陸軍の元communications sergeant。それだけでドラマになりそうな展開でドキドキなのですが、実際の二人の出会いは大学の英語の講義だとか。しかも、ロシア生まれのIlonaの成績の方がよかったという落ちまであるそうです。

white hot
by Ilona Andrews

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Burn for Me

Hidden Legacyシリーズの1作目。

家族経営の小さな探偵事務所を細々とやっているNevadaは、途方もない無理難題を押し付けられます。世間をにぎわしている犯罪者Adam Pierceに業を煮やした金持ちの家族から、彼が警察に捕まる前に母親に彼を差し出すこと。できなければ、Nevadaの大事な仕事も奪われ、家族が路頭に迷うことになります。しかもAdamは、魔法を使える人間の中でも最高位のPrimeで、見る物・人全てを思いのままに燃やしてしまう、危険人物。断ることもできず、NevadaはAdamと接触を図ろうと調査に乗り出します。そして、もう一人の危険人物Connor “Mad” Roganと遭遇してしまうのです。

登場人物や世界観が面白くてスイスイ読めました。Amazonでのレビュー数も多く評価も高いです。

この本の作者Ilona Andrewsは、Gordon とIlona Andrewsというご夫婦のペンネームだそうです。漫画だと話を作る、絵を描くなどの分業が想像できるけれど、小説の分業化はどんなふうに役割分担するのでしょう。男性の視点と女性の視点が入っている小説なのかもしれませんが、小説の形態はほぼ女性であるNevadaの一人称で、男性目線で書かれている感じがしません。夫婦の共同チームで作られた本だという観点でもう一度読み直してみます。

Burn for Me: A Hidden Legacy Novel
By Ilona Andrews

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Matchmaking for Beginners

恋愛に関して、おまじないとかジンクスがあるのは日本だけではないようで、英語圏でも恋愛にmagicはつきものです。

Marnie が婚約者の家族に会いに行くところから話は始まります。語り手は、なぜかMarnieではなく婚約者の伯母Blix。このお話は、BlixとMarnieの2人の視点から語られていきます。

BlixはMarnieを一目みて、自分と同じ力があると感じ親しみを覚えます。一方のMarnieは、Blixのことは、初めて会う婚約者の家族となじめず、気まずい雰囲気から救ってくれたちょっと風変わりな人という印象しか残っていません。結婚して、郊外に住んで子どもを育ててという「普通の人生」を夢見ているMarnieに「あなたは、そんなことで満足する人じゃない。人生にはもっと楽しいことが待っている」と謎の言葉をBlixは言います。

夢見ていたはずの結婚がたった2週間で終わってしまい茫然としているMarnieのもとに、Blixが死んで、遺産としてMarineにブルックリンの家が譲られたという荒唐無稽な連絡が届きます。たった二回しか会ったことがないBlixからの遺産という状況がわからず、とりあえず説明を聞くためにフロリダからNYを訪れたMarnieは、Blixが残した家と未解決の問題に取り込むことになるのです。

今回の本は発売前ですが、amazon primeの特典で読むことができました。夜中に読み始めて、朝まで一気に読んでしまうほど面白くて、その後も二回読み直ししました。

出てくる登場人物はMarnieを含めて、ありふれた人たちです。ロマンス小説の、お金持ちでハンサムな男性が冴えない女の子(でも、彼から見たらキレイ)に一目惚れするというベタで不自然な展開とは違って、自然です。みんな悩みがあって、想いがあるけど、うまくいっていない。みんなBlixのことが大好きだった人達で、Blixは、Magicを使って色んな人達の恋愛を成就させていて、Marnieもその才能があると思っています。自分の結婚ですらうまくいかなかったMarnieには、そう言われても誰のことも助けてあげれなく歯がゆいし、自分のこともどうすればいいのか、どうなるのか全く分かりません。そんな彼女が大事にしている言葉が”Whatever happens, love that”。BlixがMarnieに贈ったマントラで、日本語にすると「何が起こっても、まずそのことを楽しみなさい」的な意味でしょうか。

Matchmaking for Beginners
 by Maddie Dawson

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Restoration

小説を読むとき、「もし自分だったらどうするだろう」と考えることがあって、
ありえない状況に置かれたときのこと想像するのだけど、今回は自分の恋人が死んでしまった女性Graceが主人公。

消防士の仕事中に死んでしまった彼氏John。夢でJohnに逢って目が覚めてを毎日繰り返すこと1年。心機一転、アメリカからイギリスに移動し、新しい気持ちで始めようと切り替えたのに、Johnとビックリするくらいソックリな男性Drewと出会ってしまったら、それは彼女にとって幸運なことなのでしょうか。

もう二度と会えない死んだはずの彼氏が目の前にいて、動いていて、名前を呼ばれたら、どんな感情がGraceの中で巻き起こるでしょう。

そして、Drewも、自分の好きにな女性が、じつは自分とソックリな男性と付き合っていて、しかもその彼氏はもう死んでしまった、という状況を受け入れることができるでしょうか。自分と死んだ彼氏を比べているのでは?自分が、死んだ彼氏とソックリだから、彼女は自分を好きになったのだろうか?など、なかなか納得できない気持ちが渦巻くでしょう。

読んでいて複雑な気分でした。

タイトルのRestorationは日本語にすると「復元、回復、修復」。このタイトルにはいくつかの意味が絡んでいて、Graceの仕事は、古い建築物の復元することだし、故人を悼む気持ちからGraceが回復する意味もあり、新たな関係をうまく構築できないGraceとDrewの関係の修復、と物語を通して絡んでいます。

Restoration; A Golden Beach Novel
By Kim Laraine

下の本も読みました。

Waking up Married
By Mira Lyn Kelly

In serach of a love story
By Rachel Schuring

Legally Yours
By Nicole French

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Bought: One husband

軽くて、かわいい話が読みたい気分で、こちら読みました。

失った家を取り戻すため、モデルになってお金をためていたAli。その家が手に入る条件は3週間以内の結婚。この条件を満たすために彼女が、契約だけの結婚を提案したのは、彼女に好意をもっている窓ふき屋さんのJethro。ボロボロの車に乗って、いい年をして祖父母と住んでいる彼ならきっとこの話を受けてくれると思いきや?

イギリスのお話です。基本的には「親と同居=自立していない=財政的に苦しい」等、良い印象がないのが普通です。このお話でも、祖父母と住んでいる=お金に困っている、とAliは思い込んでいます。最近の経済事情では、大学を出て親と住んでいるイギリス人も珍しくはありませんが。Jethroの話し方から、良い学校を出でいると推測するのも、とてもイギリス的。意識しなくてもイギリスでは、話す人の英語を聞いて、階級とか学歴をなんとなく推測してしま癖が誰でもある気がします。もちろん、本人に聞いて確認したりはしませんが、話している英語を聞くだけで、日本語で言う「お里が知れる」という感覚があります。

この本は日本語にもなっていてタイトルは、僕だけを愛して。タイトルが違うだけで、印象が変わってしまう。おもしろいです。

Bought: One Husband (Wedlocked!)
Diana Hamilton

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Remedial Rocket Science

うん、面白かった!読み終わってスッキリ感と楽しい気分があり、久しぶりに読み終わってすぐにもう一度読み直しました。

MITの学生だったMelodyは、クラブでJeremyに助けてもらいます。旅行でボストンにきたJermeyと,そのまま意気投合し一晩をすごします。二人とも後腐れなく、またもしJeremeyがボストンに来たら、もしMelodyがLAに来たら会おうと連絡先の交換をしますが、お互いにそれはただの別れのあいさつ程度。でも、就職を控えLAへの移住を考えたMelodyは、出会ってから3年後、Jeremyに連絡を取ります。そこから再び物語が始まります。

一晩であっという間に読み終わってしまったのは、主人公MelodyとJermeyの進展が気になってぐいぐい読んでしまったからです。真面目なMelodyと、お金持ちで目標もなくふらふらしていたJermey。全く共通点がないけど、友達として助け合い、良いところも弱い所もお互いに知ることで二人の関係が変わっていくのが読んでいて面白かったし、誰も知り合いのいない土地で仕事や生活を始めるMelodyの気持ちも共感できたし、Jeremyがかっこいいはずなのに微妙に外していて情けないところが新鮮でよかったです。

気持ちがどんよりしてるとき、楽しくなる小説読むと、よし、頑張ろうという気になるのですが、この本はそんな気分にさせてくれました。

Remedial Rocket Science: A Romantic Comedy
By Susannah Nix

★ 一応読んだ本

– Teach Me

– Craving

– The Third Son: A Fantasy Historical Romance

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